省エネとエコに貢献可能な会社の太陽光パネルブログ:2022年03月13日
「ごま漬けに酢は入れんのかい?」
それは母の認知症を決定づけた一言だった。
お姉ちゃんや妹からは、
最近母が少しおかしいと聞いていたが、
遠く離れたミーは、あまり気にもとめていなかった。
九十九里の名産であるごま漬けは、
小指程度の小さな背黒イワシを丸ごと、
頭と内臓をひとさし指でキュッと取って、
塩水に一晩、酢水に一晩つけ…
一段ずつ、きれいに並べ、
ゆず、はりしょうが、ごま、とうがらしの輪切と順番に振り、
一段、又一段と、気の遠くなるような作業を繰り返し…
そして
しばらく置くと、
子供もお年寄りも骨ごと食べれる
イワシのごま漬けの完成となる。
母の味はどんな有名な店のものよりもおいしく、
母自身もそれをわかっていた。
だからミーが実家へ帰るからというと
必ず手土産にと作ってくれておいた。
いつ頃からか少し味がかわってきて…
ん?何かが違うという感じが、現実のものとなったのだ。
50年やってきた当たり前が、母の記憶から消えた。
たばこの自動販売機に古い500円札を入れて
入らないと泣きだしそうになったり、
お札に火をつけて燃やしてしまったり、
母の中で一体何が起きているんだろう?
パパが亡くなって七年、
独りで淋しかったんだね…ごめんね…
今はまだ、
母の中にミー達はいるんだろうか?
ミー達の笑顔は母に届いているんだろうか?
ミー達の想いは…
忘れんぼうになった母は
「ありがと」「ありがと」とそればかり…
もういいよ。
母のシワシワになった笑顔の中に
ミー達がいつまでもいられますように…
「ありがとう」は、ミー達の方だよ。
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